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2017年06月30日

蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

梅雨と言えばしとしとと降る雨。
こんな雨を<漫ろ雨>、そぞろあめ、というそうです。小降りでいつまでも止まずに降る雨、あるは、思いがけなく降ってくる雨のことなのだとか。

梅雨入りはしたけれど、ほとんど雨が降らなかった6月の中旬、藤森神社界隈をめぐる「京都さんぽ」に行って参りました。ご案内は らくたびガイドの山下輝雄。穏やかなその語りでみなさんを伏見の旅へと誘います。

京阪・墨染駅前を出発し、まずは藤森神社へ向かいます。およそ1800年も前、神功皇后によって創建されたこちらの神社は、勝運と馬の神様として知られています。

みずみずしい緑に包まれる神社正門の鳥居。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

この日は蹴鞠奉納が行われる日で、境内ではまさに蹴鞠がはじまったところでした。
京都蹴鞠保存会のみなさんが「アリ」「ヤア」「オウ」と声をかけ、革製の毬を落とさぬように蹴り上げていきます。装束もさることながら、雅な球戯に見入ってしまいます。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ
貴族から武士、一般庶民にまで普及したという蹴鞠。相手が蹴りやすいようにと、毬はあまり高く上げてはいけないそうです。蹴り続けて楽しむというのがいいですね。

この季節に公開の紫陽花苑を歩きます。梅雨空が似合う色ですね~。種類も豊富です。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

境内には、ふたつとないという意味の“不二の水”(御神水)が湧き出ています。水を汲みに来られる方も多いです。口に含むと…角のないまろやかなお味(^^)
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

次に向いましたのは墨染寺(ぼくせんじ)。平安時代、歌人の上野岑雄(かみつけのみねお)が友の死を悼んで次のような歌を詠んだといいます。 

----- 深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染に咲け -----

すると桜が墨染(喪の色)に染まったのだとか…。この桜は遅咲きですので、来年機会があれば桜のシーズンのちょっと遅めに訪れてみてくださいね。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

墨染寺からすぐのところにある欣浄寺(ごんじょうじ)のご本尊は伏見大仏!大仏があるのですよ、伏見にも。
大きいです…お寺のご了解のもと、写真を撮らせていただきました。この日はご住職のお話もお聞きしました。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

そしてこのお寺のある場所は、小野小町のもとに通い続けたとされる深草少将の邸宅跡といわれています。今はない巨椋池の北端あたりでもあったそう。お庭には小野小町と深草少将の供養塔が並んでいます。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

半夏生が咲いていました。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

そして一行は琵琶湖疎水を目指します。かつて伏見にも蹴上のようにインクライン(傾斜鉄道)がありました。みなさんが立っておられるのは、まさにインクラインのあった場所。写真左手の方には柵があり緩やかな上りになっていて、かつては船を運ぶ台車が行き来したのだと、その地形が教えてくれます。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

琵琶湖疎水。この場所からはるか北東にある湖から流れ来た水です。ここには関西電力墨染発電所があるのです。
疎水沿いは春ともなれば桜が咲き誇るすてきな散歩道。今歩いても緑陰が涼やかです。
蹴鞠と大仏と疎水と…盛りだくさんの伏見さんぽ

今回は京阪沿線の社寺と季節の花を楽しんでいただきました。

いよいよ明日から祇園祭!ますます熱くなる京都ですが、暑い時季ならではの京都さんぽをご一緒に楽しみましょう。

らくたび
田中昭美



Posted by らくたびスタッフ    at 19:26